スクラボ7_特別支援版
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3認知発達への気づきにより発達の順序性を具体的行動として知っていると、行動の背景にある「こころの世界」が見えてきます。そして、子どもが泣いたり席を立ったりする理由も、認知発達と関係があることがわかってきます。こうして大人側の意識が変わると、子どもの応じ方も変わってきます。ケース1視覚よりも触覚が優先していた子どもたとえば、〇や△や□の基本図形を上手にお皿に分類していた子どもに、写真1のような角の丸い型はめを渡したら混乱してしまったことがありました。大人はてっきり目で見て形を分類しているのだと思っていたのですが、その子どもは角を触って「触覚」で判断していたのです。この教材では、すべての角が丸いので区別がつかなくなってしまったのでした。角を触って判断していた枠を外すと違和感に気づく写真1角の丸い基本図形の型はめ写真2枠のある切片パズルケース2視覚で応じていても、触覚的な「ぴったり感」が優先して、絵のまとまりに気づかなかった子ども映像的表象段階では視覚の機能も育つ途中であり、初期の段階では絵の理解も十分ではありません。それが何を表すかに気づいていても、より印象の強い部分に囚われてしまうことがあります。写真2の切片パズルでは、枠があると、子どもは絵の切断面を枠にぴったり合わせることに囚われ、絵の全体像に注意を向けることが困難になります。子どもは枠の中に切片がぴたりと納まってしまえばそれで「終わり」と思い、絵が正しく組み合わされてなくても枠ごと押しのけ、大人が「違うよ」と指摘しても受け入れようとはしません。しかし、枠をはずして切片だけにすると、途端に切片の向きや位置の違和感に気づき、なんとか解消しようとして、大人の手をひっぱったりします。43子どもの応じ方が変わる

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