イラスト5教材4ラーニングカウントウィズリングス¥2,090(税込)722-289「同じものを揃える」「合わせる」といったマッチング課題が大好きになりますが、最初は上に積むタイプを好み、自発的な遊びの中でも、同じ形を集めて上に積む様子が見られます(イラスト3)。積むことによって初めて形の「同じ」を意識するといえます。一方、この段階に移ったばかりの自閉スペクトラム症の子どもは形よりも先に色の「同じ」を学習し、同じ形を積む課題でも色が異なると違和感があって、積んだ後に触覚を使って同じかどうかを確かめる様子が見られます(イラスト4)。見比べが上手になると、お皿に分類する振り分け課題も成立するようになります。また、ペグさしで形を作る活動に熱心に取り組み「終わり」(始点に戻る)を発見して喜びます。点の連続を辿っていくことにより、面(形)に気づいていく活動です(イラスト5)。日常生活では、スリッパや靴下を揃えて並べるなどの行動がみられます。ブロックやミニカーを並べるなど、「コレクション」が始まるのもこの段階です。大人の言葉のオウム返しを頻繁に行い、日常生活でも、単語で発信することが増えていきます。一方、たとえ赤や青の分類が上手にできても、「赤をとって」というと途端に席を立つなど、視覚的に違いを分けることと、同じ物の集合に「アカ」などの名前がついていることを理解することとは別であることを子どもが教えてくれます。見本がわかるようになると、学齢期では文字や数の学習も可能になりますが、見本と同じ文字を並べる、絵とマッチングする、写し書きをするなどと、文から意味を読み取ることとは別次元の課題です。数も、順序数は比較的容易に理解しますが、「量」は別次元の課題です。量の概念に気づいていない子どもは、たとえば、目の前に5つ玉がさせる棒があれば、「3個ね」と数唱で指示しても、物理的にさせなくなるまでさしてしまいます。したがって、数の教材も、動作の終わりを教えてくれるものを選びます(教材4)。このように、視覚が優先し、目で環境を捉える特性が顕著になるとともに大人の期待も高まり、言葉(内言)で行動をコントロールすることも求めるようになってきます。「待つことが苦手」などの評価は、こうした大人の要求水準の高まりを示すものともいえますが、この時点の子どもはまだ目の前の刺激に応じるだけで精一杯で、「待った先の何か」を想像して行動するなどは難しいといえます。イラスト4触って形を確かめるイラスト3同じ形を集める点で線(形)を描く量を発信するP97掲載36
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