スクラボ7_特別支援版
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1子どもに合った適切な教材を生後6か月くらいまでは、子どもは自ら起き上がることができず、手の活動の対象は身近にある毛布や自分の身体に限られ、自己刺激的な活動が中心です。しかし、大人が姿勢を変え支え座位にしたりすると、途端に外に向けた手の活動が始まり、それとともに手を伸ばした先にあるものに視線が向くようになります。こうして手の活動とともに目の使い方も上達し、「(大好きな)それか、それでないもの」といった初期の弁別が始まります。このように、子どもの発達を促進するためには「物」の存在が必要です。そして、活動を見守り共感する、大人の愛情のこもったまなざしが必要です。加えて、適切な教材の選択と提供のためには、子どもが自然に手を出す物の特性やタイミングを分析する、専門家としての科学的な視点が必要といえます。ポイント1-1感覚の使い方に合わせるポイント1-2空間の使い方に合わせるポイント2目に見えないものを見るポイント3見た目や触り心地発達の順序性●障害のある子どもの発達認知発達は、身体を使って環境に触れ、かかわることから始まり、障害の有無に関わらず、共通した順序性があります。障害のあるお子さんでは、個人内で良好な発達を示す領域とゆっくり発達する領域との差が大きいといわれますが、各々の領域の発達の順序性が大きく変わることはありません。●適切な教材は子どもが教えてくれる様々な発達段階の子どもがいる中で、適切な教材を見定めるためには、まずは、「子ども自身が教えてくれる」という観点をもつことが重要です。子どもは常に手を動かし、環境の中で自分の学びに合ったものを探しています。つまり、子どもが自然に注意を向け、手を伸ばす物の特性に、その子どもの認知発達に合った学びの要素があるといえます。たとえそれが「小石」や「ティッシュペーパー」など、大人にとっては取るに足らないもの、いつもやっている見慣れた、あるいは、できればやめて欲しい「くせ」や「こだわり」であっても、それは子どもにとっては挑戦する価値のある、もしくは、自分の行動の結果が予測しやすい、安心できるものであるということです。逆にいえば、それらの特性を分析すれば、その子どもの学習に役立つ教材の要素や条件がわかってくるといえます。P34P35P37P37Point発達の順序性に沿った教材を提供する事が大切33見定めるポイント

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