インクルム02
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2webカタログ ▶ www.sanwa303.co.jp/catalog/ゼロからわかる 合理的配慮特集 2合理的配慮のヒントの参考になるサイト「インクルーシブ教育システム構築支援データベース」(国立特別支援教育総合研究所)「高等学校入学者選抜における受検上の配慮に関する参考資料」(文部科学省)「障害のある学生への支援・配慮事例」(独立行政法人日本学生支援機構)「発達障害 合理的配慮等具体例データ集(合理的配慮サーチ)」(内閣府)各都道府県教育委員会等が作成している合理的配慮の資料❸と❹は「何を行うのか」という点です。基本的には、子どもの障害の状態等に応じて、個別具体に検討するということになります。具体的に言えば、LDで文字を書くことに困難(書字障害)がある場合、障害の状態や程度などに応じて、プリント等を準備して文字の書く量を減らす、デジタルカメラ等で黒板等を撮影する、タブレット端末を使用してノートを取る、授業を録音して確認するなど、様々な選択肢が考えられます。当然、個別に検討した結果、違う子どもに同じ合理的配慮を提供するということはありえるでしょう。よく見られる間違った例としては、同じ障害のある子どもなどに対して同じ合理的配慮を提供するという場合があります。先ほどの場合で言えば、「LDで文字を書くことに困難がある=タブレット端末利用」という考え方ではない、という点を理解する必要があります。合理的配慮の例としては、中教審初中分科会報告や対応指針に挙げられています。また、2017、2018年に改訂された学習指導要領の各教科等の解説に学習上の困難に応じた指導内容や指導方法の工夫が記載されていますので、合理的配慮のヒントにもなります。さらには、次のようなサイトも参考になります。ただし、これらの合理的配慮は、あくまで例示であり、学校の設置者及び学校が本人・保護者、関係者と話し合いをする中で、どのような合理的配慮を提供するべきかを判断していくことが大切になります。❺は合理的配慮の提供に当たっては、「学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」とされている点です。どの程度であれば均衡を失した状況であるのか、過度な負担に当たるかということについては、合理的配慮の内容と学校や設置者の状況によって異なるため、それぞれのケースで判断することになります。しかし、文部科学省が所管する分野における事業者(国公立や私立学校を含みます)が障害者差別解消法等に適切に対応するために必要な事項を定めた対応指針には、「過重な負担の基本的な考え方に掲げた要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるもの」と記されています。合理的配慮の提供が可能なのか、不可能なのかの二者択一ではなく、代替案を提示しながら検討していくこと(建設的対話)は、双方の努力で行われることが大切になります。(過重な負担の基本的な考え方は「対応指針」参照)。ここまで、教育分野の合理的配慮提供の基本的な考え方についてお話ししてきましたが、これらのことを規定する法律が障害者差別解消法です。同法では、障害による差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の不提供の禁止を定めています。障害による差別的取り扱いの禁止については、障害があることや特別支援学級や特別支援学校に在籍していることをもって受験や入学を拒否するなどが該当します。また、「試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差を付けたりすること」も対応指針に記載されていることに留意が必要です。これについては、同法制定当初から、国・地方公共団体つまり国公立学校も、民間事業者つまり学校法人(私立学校)も法的義務があります。●「LDで文字を書くことに困難がある=タブレット端末利用」ではない●可能・不可能の二者択一ではなく代替案を提示しながら検討する●障害者差別解消法46合理的配慮提供のプロセス

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