まずは、児童生徒の個別の教育支援計画や指導計画等、一人一人の実態や教育的ニーズの引継ぎを最優先に行うことが大切です。その中で、教室づくりにおいて必要な手立てやポイントについても部分的にでも併せて確認できると思います。その子の「~が難しい」「~に課題がある」という話も大切な実態把握の一つですが、「~(具体的な手立て)があれば自分で取り組むことができる」等の、これからの教室づくりのヒントになる具体的な内容を確認できることで、支援が繋がっていきます。たとえば私であれば、教室づくりのキーワードとして「構造化」「視覚化」「動線」の3つからイメージを具体化していきます。そのもとにある子どもたちへの願いは「自分でわかって取り組むことができるようになってほしい」「主体的な経験を通して自信を深めてほしい」などがあります。ただ、どの考えが良くて、何が間違っているのかではないと考えています。繰り返しになりますが、まずは先生方一人一人の思いを考え、そこから教室づくりをスタートしていただければな…と思います。3つのキーワードについて、私なりに整理した考え方を下表にまとめてみました。リビング、キッチン、バスルームなど住環境と同じように、教室環境も構造的に捉えることができます。学習スペースと休憩スペースを分けるような大きなものから、机の上について、ノートやペンケース等の文房具を置く場所を決めておくなど、可能な範囲で構造化することで、積み重ねしやすく、子どもも大人も見通しをもって学校生活を送ることに繋がります。自分と友だちの物やスペースが見分けられるような表示も大切です。また、「机を綺麗に揃えましょう」と言う言葉かけを想像してみてください。たとえば、床面に目印のテープが貼ってあれば「机の脚がテープの上にあるかな。」というように、より伝わりやすい言葉かけに繋がります。机同士の間隔、ロッカーの配置など、動きやすさ(動線)がすっきりしていると、より集中しやすい・過ごしやすい教室環境になります。またそれ以上に、私たち大人も児童生徒の様子に応じてスムーズに個別の支援をしやすい教室環境に繋がります。●年度の引継ぎから新しく特別支援学級を担当することになると、最初の仕事の一つに「教室づくり」があります。教室環境も含めて前任者と引継ぎを行うことになるかと思います。ただし、異動等の都合から、これまでの教室づくりの意図やねらい等の細かな点まで、十分に引き継ぐことが難しい場合もあるかもしれません。●教室づくりにおける考え方子どもたちが多様であるように、私たち指導者・支援者も多様で、それぞれの指導観等も全く同じ…ということはないと思います。ぜひ、子どもたちのどのような姿を引き出したいか、どのように学びを深めてほしいか等、子どもへの思いや願いをもとに、先生が描く教室づくりを進めてほしいと思います。●3つのキーワード佐藤義竹筑波大学附属大塚特別支援学校研究主任兼教務主任キーワード構造化視覚化動 線考 え 方特集ゼロからわかるゼロからわかる1特別支援学級特別支援学級のの環境環境づくりづくり入門入門138教室づくりに当たって
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